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パンクロックからお笑いまで、気になることを気まぐれに。

【It's Only Rock 'n Roll~The Rolling Stones SP】13/12/28…甲本ヒロト×ピーター・バラカン

InterFM Special Program
【It's Only Rock 'n Roll~The Rolling Stones Special~】


Sat.  12.28 19:00 - 20:00
Mon. 12.30 26:00 - 27:00 (再放送)

DJs: 甲本ヒロト(ザ・クロマニヨンズ)、ピーター・バラカン

The Rolling Stones の来日決定を祝し、ザ・クロマニヨンズの甲本ヒロトとピーター・バラカンによる対談Special Programをオンエア!初対面の2人がストーンズとの出会い、メンバーの魅力、印象に残っているライヴの話など、じっくりと語り合います。お楽しみに!




ピーター「来年2014年、2月から3月にかけて、The Rolling Stonesが8年ぶりの来日公演を行います。僕は中学ぐらいの時に、リズム&ブルースとかソウルとかブルースとか、そういったアメリカのブラックミュージックをどんどん好きになったもんなんですけど。その辺の音楽を教えてくれたのが、やはりローリング・ストーンズでした。今日はザ・クロマニヨンズの甲本ヒロトさんを迎えて、ローリング・ストーンズについて語り合いながらお送りします」

甲本  「皆さん、お元気ですか?ザ・クロマニヨンズのボーカル、甲本ヒロトと言います」
ピーター「よろしくお願いします」
甲本  「よろしくお願いします」
ピーター「いきなりですが、甲本さんはローリング・ストーンズと最初に出会ったのはいつだったか覚えてますか?」
甲本  「僕は中学生の頃ですね。1974~5年、5~6年。はい」
ピーター「おお。ということはもう『Black And Blue』とか、その頃のストーンズですか」
甲本  「そうです、そうです」
ピーター「なんか僕が聞いた話によると、『Black And Blue』でストーンズは初めて日本で、けっこう売れたという…ことだそうですね。ちょっと信じがたかったんですけど」
甲本  「ということは、何かプロモーション、活動があったのかもしれないですね」
ピーター「たぶんそうでしょうね。僕が当時、シンコーミュージックの社員だったんですけど、シンコーが出していた『MUSIC LIFE』の表紙にね、ローリング・ストーンズを入れるとその号が売れないって言われていたぐらい」
甲本  「ふふふふっ」
ピーター「有名だけど、でも、売れないグループっていう。なんかそういうちょっと…不思議な、感じがあったんですね」
甲本  「じゃあ僕は、その、プロモーション活動の一環で、何かラジオで聞いたのか。うん、そういうふうに、耳に入ってきやすい所に、たまたまいたんだと思う」
ピーター「最初に聞いたレコードは何だったか覚えてますか?」
甲本  「はい。買ったのはね、え~『Out Of Our Heads』ですけど」
ピーター「ええ。それが、どうして『Out Of Our Heads』っていう、もう10年以上前のものだったか、覚えてますか?」
甲本  「えーと、何から聞いていいか分からなかったので、ジャケ買いです」
ピーター「レコード店で、見つけて、これにしようって?」
甲本  「はい」
ピーター「これ確かあの、イギリス盤は(聞き取れず)…だけど、アメリカ盤で買ったんですよね?」
甲本  「そうですね。あの~国内盤はそれが…出てて、はい。曲順もちょっと違ったりして面白かったです」
ピーター「曲順もそうですね。選曲そのもの、違いますよね。僕は未だにね、アメリカ盤の、ストーンズのLPに何が入ってたかさっぱり分からない(笑)」
甲本  「ふふふっ」
ピーター「一曲行きましょうか」
甲本  「はい。ではえーと、『Out Of Our Heads』、僕が買った『Out Of Our Heads』には、入っていました。ローリング・ストーンズで、『Satisfaction』」


(I Can't Get No)Satisfaction / The Rolling Stones


ピーター「『Satisfaction』出た時、確かに衝撃でしたね。ファズトーンの、ギター。その前にたぶん誰も聞いてない…じゃないかな?」
甲本  「ふーん」
ピーター「それだけでもね、ラジオで聞いて何これ!?つって」
甲本  「そうかー」
ピーター「みんな、思っちゃったもんですね。僕はもう、世代的に完全にリアルタイム世代、なんですけど。ストーンズとの出会いもやっぱりね、デビューシングル、なんですよ。『Come On』」
甲本  「『Come On』」
ピーター「発売日に、買ったのを」
甲本  「わあ」
ピーター「今でも凄いよく覚えてて」
甲本  「あっ、じゃあ発売前からは話題のバンドだった?」
ピーター「たぶんね、テレビ…で演奏してるのを見たような気がするんですよ。『Thank Your Lucky Stars』という、当時のテレビ番組があって、それに彼が出てのを、凄くよく覚えてるんですけど。それがレコードの発売前か、あとだったか、ははっきりしない。でも、うん、話題は確かにあったはずで。で、あの夏休みだったはずなんですけど。母親と弟と3人でね、いとこの家に向かう途中だったんだけど(笑)郊外のちょっと遠い所だったけどね。途中でレコード屋通りかかって、「ちょっと待って、ここで停めて」って言って。「今日、ローリング・ストーンズのレコードが出たはずだから、買いたい」って言って」
甲本  「わあ」
ピーター「確かね、レコード券があったはずなんですよ。そのレコード券がちょうどシングル…1枚分だったと思うんだけど。それで『COME ON』買って、あの~いとこの家に遊びに行ったっていうのは、覚えてますね」
甲本  「凄い。いや僕、その話を、え~ほんとに体験した人から、生の声で、ここで聞けることがもう幸せです」
ピーター「アハッ、そうですか」
甲本  「はい」
ピーター「ラッキーなことに、ロンドンで生まれて、この世代ですから(笑)じゃああの、記念に、やっぱり聞きましょうか。チャック・ベリーの、オリジナル…もちろん当時は全然知らなくてね。ずいぶんあとになって聞いたら、あっこんなに違うのかって言って、思ったんですけど」
甲本  「うんうんうん」
ピーター「やっぱり先に聞いてるのがストーンズだから、妙にストーンズの方が良かったりするんですよね」
甲本  「確かに。はい」
ピーター「では、ローリング・ストーンズ、『Come On』」


Come On / The Rolling Stones

ピーター「まあチャック・ベリーのカバーなんですけど。途中で転調したり、チャック・ベリーが絶対やらないようなことをやってるのは、デビューシングルにしては、うん。よく出来たものだと思いますけど。素朴ですけどね」
甲本  「素朴ですね。と、当時の印象として、当然ビートルズなんかはもう、凄かったわけでしょ?」
ピーター「そうですね」
甲本  「で、そこに、えーと対抗馬的な雰囲気ってもう最初からあったんですか?」
ピーター「ややありましたね。で、あのまあ有名な話なんですけど、アンドリュー・オールダムはそのビートルズのイメージと、対照的なものを目指して、ってか狙って。それほど不良でもないのに、不良っぽいイメージをわざわざ作って。有名な、あの~ションベン事件」
甲本  「はいはい」
ピーター「ありましたよね?ガソリンスタンドの。ああいう所に、なぜ、新聞のカメラマンがいるのかっていうことを、子供だから全然考えなかったんですけど」
甲本  「なるほど」
ピーター「あのプレスの、操作…方法がね、上手だったな。アンドリュー・オールダムね。まあでもね、よく日本ではビートルズ派、ストーンズ派、と言いますけど。少なくとも僕と周りの友達では、あまりそういうことはなかったんですね。どっちも好きで、全部聞いてましたけどね。あの~甲本さんはどうでした?初期のストーンズと、そのあとのストーンズと、もし好きなストーンズの時期、選ぶとすれば?」
甲本  「えーっとね、それがね、えっと決めがたいのは、その日の気分によっても違うんですよ」
ピーター「ああ~」
甲本  「でも、圧倒的に、どっぷりハマった時期があって。そん時はやっぱね、『Let It Bleed』とか、あ~『Beggars Banquet』とかを、もう凄く聞いた」
ピーター「うん。あの頃はもうストーンズほとんど、自作の曲になってますけど」
甲本  「はいはい」
ピーター「初期はやっぱり圧倒的にカバーが多いですよね」
甲本  「そうですね」
ピーター「僕の…経験では、経験というか世代的なものもまたあるかもしれませんけど。ブラックミュージック…がもの凄く好きになったんですけど。そのブラックミュージックを教えてくれたのがほとんどストーンズなんですね」
甲本  「同じです、同じです」
ピーター「ああそう」
甲本  「はい」
ピーター「あの~初期のカバーの曲で、特に好きなものを、少し選ぶとすれば?」
甲本  「『Out Of Our Heads』を最初に聞いた時に、実は、さっき『Satisfaction』をかけましたけれど。僕の心を一番…その、惹きつけたものは、『Cry To Me』とか、『That's How Strong My Love Is』みたいな、バラードの、曲だったり。それから『Hitch Hike』だったり、『Mercy, Mercy』だったり。黒人のカバー、だったんですね」
ピーター「選曲のセンスも抜群ですよね」
甲本  「素晴らしいと思います」
ピーター「おそらく当時のイギリスではほとんど、知られてない曲が多かったんじゃないかな。ほとんどね、ストーンズで、いい曲だなぁと思って。オリジナル聞いたのは70年代とか、もっとあとだったりするんですけどね(笑)」
甲本  「そうです、大変でした。レコード探すの」
ピーター「ああ~。そうそう、CDの時代になるとね、違うけど、レコードの時代はもうほんとに、探しても探しても、誰がやってるかっていうのを、分からないものもあったぐらいですからね」
甲本  「うんうん、そうですね」
ピーター「一曲、もしその初期のストーンズのカバーで今、かけるのに選ぶとしたら?」
甲本  「僕は『Cry To Me』です」


Cry To Me / The Rolling Stones

ピーター「ローリング・ストーンズ、最初に聞いた時、ミックの印象は、圧倒的でした?」
甲本  「そうですね。へん、変な声…ですけど、なんか、胸を締めつけられるような、感じがしました」
ピーター「うん。甲本さん自身が、ボーカリストになりたいと、思った時には、一番…きっかけっていうか、インスピレーションを受けた人は、誰ですか?」
甲本  「最初はミック・ジャガーです。僕、作文書いたことがあるんですよ。10代の頃に。「痩せて、口の大きな人になりたい」っていう(笑)」
ピーター「フッフッフッフッ。それ、中学で?高校で?」
甲本  「えーと、中学か高校生かそのぐらいの時に。はい」
ピーター「それはミック・ジャガーという名前は出てこない?」
甲本  「出てこないです」
ピーター「でも、その頃はもうすでに、ミュージシャン…になりたいと、決めてました?」
甲本  「ミュージシャンというか漠然と、漠然としたその、カッコいい、もの、になってみたかったです」
ピーター「うん。確かに子供としてね、ミックをテレビでもうよく、ストーンズは毎週のように出てましたんでね。テレビで見てると、ほんとにカッコいい。あの~動き方も、ある意味妙な動き方だけど。でももの凄く様になっててね。パーティー…よくパーティーやるんですね、イギリスで。で、レコードかけながら、ストーンズのレコードかけながら、あのモノマネをする」
二人  「ハハハハッ」
ピーター「みんながやることだったんだけど、僕はけっこう得意でしたね」
甲本  「わお」
ピーター「フフフッ。いや上手いかどうかは別問題として。あの~ミックの、歌もそうだけど、ハープ…あの、この前ね、甲本さんのレコード聞かせてもらって。『Factory Girl』だったかな」
甲本  「ああ、はいはい」
ピーター「で、ハーモニカ、ミックより上手いんじゃないかと思ったんだけど(笑)」
甲本  「わお」
ピーター「ハーモニカもミックからでした?」
甲本  「えっとね、とにかくその黒人音楽に通じるもの、ブルースの中のハーモニカであったり、そういうものは最初のきっかけは、ほぼ全部ローリング・ストーンズから、教えてもらって。で、そのあと、僕パブロックが好きになって」
ピーター「ほお」
甲本  「で、えーと、あの~ドクター・フィールグッドなんかを聞きながら、ハーモニカを練習したんです。そして、そん時はもうがむしゃらにただ吹いているだけだったんだけど、ちゃんと練習してみようと思って。練習した曲は、『Miss You』です」
ピーター「ああ、そっか。あれはミックじゃないもんね」
甲本  「そうなんです」
ピーター「シュガー・ブルー」
甲本  「シュガー・ブルーの」
ピーター「なるほど、あれはほんとに上手い人ですからね」
甲本  「うん。初めてあのフレーズを吹いてみたい、と思って。一生懸命吹いた…のが、今の自分のハーモニカの、そのポテンシャルに繋がってると思います。はい」
ピーター「あの~イギリス人のブルースハープの吹き方って独特ですよね」
甲本  「はいはい」
ピーター「まあストーンズもそうだし、60年代のグループだいたいみんな同じような吹き方する。で、ドクター・フィールグッドもやっぱり似てて。つい最近、ストライプスっていうバンド」
甲本  「はいはいはい」
ピーター「出ましたよね。で、あれ聞いててね、そうか、イギリス人はどの世代も一度はローリング・ストーンズの」
甲本  「なるほど」
ピーター「洗礼を受けなきゃいけないんだなって、つくづく思ったんですけどね」
甲本  「60年代の、イギリスのグループって、ライス・ミラーの、サニー・ボーイの影響凄く受けてると思って」
ピーター「うんうんうん」
甲本  「リトル・ウォルターじゃないんですよね。サニー・ボーイな感じ」
ピーター「そうね、サニー・ボーイの方がマネしやすいかもしれないね」
甲本  「そうかもしれない」
ピーター「特徴…ははっきりしてるしね。なるほど。ここでじゃあ、ミックはこれ!というような曲。」
甲本  「わお。えーっと、みんなはどういうか分からないけど、あの~『メイン・ストリートのならず者』から、『Shine a Light』」
ピーター「おお~、きましたね」
甲本  「そんなにこう、突出した曲ではないんだけれども。あれを聞いてるとなんかミック・ジャガーの、ボーカリストのポテンシャルが、凄く伝わってくるんですね。テクニックじゃなくて、なんか人に何かを伝える力…が何か、ある気がする」


Shine a Light / The Rolling Stones

甲本  「演奏、素晴らしいですね」
ピーター「この曲、僕も大好きですけどね。確かにミックは凄くいいんですけど、ビリー・プレストンのキーボードとか」
甲本  「凄い」
ピーター「今クレジット見て、久々に思い出したんだけどね。ドラムがジミー・ミラーですね」
甲本  「そうなんですよ」
ピーター「チャーリーじゃない。ってことは、この時たぶんもうムチャクチャになっててメンバーが誰も来てなくて」
甲本  「ふふふっ」
ピーター「ベースもミック・テイラーですし」
甲本  「これ、たまらないんですよ。あの~21世紀になってからのライブでもよくやるでしょ、この曲。で、生で聞いた時の、やっぱ今でも凄い説得力持ってて。やられちゃいますね」
ピーター「映画のタイトルにもなりましたし」
甲本  「そうですね。なりました。あっそっか。本人達もだからもしかしたら凄くお気に入りなのかも」
ピーター「そうかもね。凄い…ファンキーだし、ゴスペルっぽい」
甲本  「ゴスペルっぽいですね」
ピーター「あの~ついこの前、公開された、『バックコーラスの歌姫〈ディーバ〉たち』という映画は、まだ観てません?」
甲本  「まだ観てないです」
ピーター「これはね、面白い。メリー・クレイトンが、出てきますよ。ちょうどあの『Gimme Shelter』の所のあのボーカルが、また出てくるからね」
甲本  「ああそうですか。ふーん」
ピーター「これは素晴らしい」
甲本  「なんかミックは、ゴスペルっぽい曲をソロでもやってますよね。だから凄く、好きなんだろうな」
ピーター「そうですね。絶対そうだと思います。キースは、もう、最高のリズムギターリストって、よく言われますけど。キースのギターリフは、有名なのがいっぱいありますけど、特に好きなものはありますか?」
甲本  「うーん。もちろん、その~『Jumpin' Jack Flash』とかはもう、ほんとにやられちゃいましたし。もうノックアウトですね」
ピーター「『Jumpin' Jack』もそうですし、さっきの『Satisfaction』ももちろんそうだし。あれほど天才的なリフを、どうしてここまで、たくさん作れるのって」
甲本  「そうですね」
ピーター「他のギタリストみんな嫉妬するんだろうね」
甲本  「そうですね。一つのもう、そのロックンロールのひな形を、作ったと思うんですね。スタイルを。だから、その、うーん…そこまで到達する、0を1にする所をローリング・ストーンズはやったと思うんですよ。だから、カンブリア紀の…なんかね、遺伝子の大爆発みたいなことが、起きて。あとはみんな、その時に生まれた、哺乳類なら哺乳類。ロックンロール類っていう類、を作った気がするんですよね。はい」
ピーター「あのちょっとこうゆったりしたリズム感だとか、あと最近知ったことですけど、チューニングが独特なんですってね」
甲本  「そうですね。5弦…張って、独特な、チューニングをしますね。全部手を放してもコードになるように」
ピーター「そうそうそう(笑)」
甲本  「オープンチューニングしてある」
ピーター「そうですよね、あれね」
甲本  「あれ昔のブルースマンがね、スライドとかをする時に使った、やり方に近いですね」
ピーター「チューニングは、オープンG?」
甲本  「オープンGか」
ピーター「Gだっけ?そうだよね。確かにね、それで作った曲だと思うんですけど。僕、『Honky Tonk Women』のリフがね、死ぬほど好きなんですよ」
甲本  「カッコいいですねえ」


Honky Tonk Women / The Rolling Stones

甲本  「中学生ぐらいでこれ聞いた時の、衝撃も凄かったです。なんか突然変異的な、サウンドだと思う」
ピーター「うん。こういう曲を聞くと、瞬間的に、高校生の時に戻っていくんですよ」
甲本  「はい」
ピーター「これ、69年ですけど、ちょうど、ハイドパークのコンサートをやる…前後の、曲だったんですね。なんかね、そういうの、やっぱ蘇ってくるんですよ」
甲本  「あ~いいなぁ」
ピーター「僕らの世代、もちろんアルバムも聞いてますけどね、60年代のストーンズに限らず、あの辺のグループは、もっぱらシングルで聞いてるからね。あの~アルバムのことを意外にね、思い出さないこともある。でもやっぱり好きなアルバムたくさんありますけど、一番好きなストーンズのアルバムと言うと?」
甲本  「僕やっぱり、もう月並みですけど、『Let It Bleed』と『Beggars Banquet』、2枚1組で好きです」
ピーター「ああ~。あれでほんとに久々にね、おっストーンズ、やるなぁ!っていう、感じでしたね。まあ人によってですけど、僕『Between the Buttons』とか、『Their Satanic Majesties Request』とか、持ってなかったんですよ」
甲本  「はい」
ピーター「これ買わなくていいって言って、当時…(笑)高校生ぐらいで、思ってて。で、久々にね、やっぱ『Beggars Banquet』を買ってもう聞きまくりましたね」
甲本  「なんか僕は、あの時期のローリング・ストーンズで、あの~昆虫が変態…するじゃないですか。幼虫からサナギになったり、チョウチョになったり。なんか、あの時期のローリング・ストーンズに何か変態があったような気がして。そこでなんか完成された気がするんですよ」
ピーター「おお~。どうしてだろうね。あのある意味、ブルーズのっていう出発点に戻ったっていう感じが、あるんですけど」
甲本  「うんうんうん」
ピーター「何かを経て戻ったって感じがしますか?」
甲本  「どうなんだろう…。何が、そうさせたのか分からないけれども、僕はその~『Beggars Banquet』『Let It Bleed』を聞いた時に、えっと、ブルースを素直に演奏してるようには聞こえなかったんです」
ピーター「確かにそれもそうですね」
甲本  「ただ彼らは、ブルースを、ブルーズミュージックの雰囲気を、たっぷりと、もう含んでいるんですよ。で、僕ロックンロールを例える時に、器に例えると、分かりにくいんです。器だと、たっぷり入っているか空っぽかって一目で分かるけど。スポンジだと、カスカスの乾いたスポンジなのか、たっぷり含んだスポンジなのかは、一目では分からないじゃないですか」
ピーター「ほお」
甲本  「でも、ローリング・ストーンズ、のようなバンドはたくさんいるんです。で、ローリング・ストーンズは、その、たっぷり含んでるんですよ」
ピーター「ふーむ」
甲本  「乾いてないんです。で、その、その含んだやつをジューッて絞り出してる…感じがするんですね」
ピーター「面白い例え方だなぁ」
甲本  「それが、ちょうどその、『Let It Bleed』『Beggars Banquet』期、に感じるんですよ。はい」
ピーター「あの~70年代以降に、ストーンズの影響を受けて、今やもう大スターになってるようなグループはいくつか、あります」
甲本  「はいはい」
ピーター「甲本さんとしては、その辺のグループは好きになりました?」
甲本  「うーん。いや、すっ好きです。僕もその、一員だと思ってます(笑)ふっふっふっ」
ピーター「ああ~。なるほど、なるほど」
甲本  「はい。だから僕もその、スタイルをね、マネるということではなくて、その雰囲気をたっぷり自分に含ませて、絞ってみたいんです」
ピーター「なるほどね」
甲本  「その時に出てくるものは、たぶん全く違う形のものでいいと思うし。僕はずっと、一貫して、1985年に、ザ・ブルーハーツというバンドを組んで始めた時から、ブルースをやっています」
ピーター「うんうんうん」
甲本  「はい」
ピーター「じゃああの~『Beggars Banquet』か、『Let It Bleed』か、一曲ここでかけるとしたら何がいい?」
甲本  「わお」
ピーター「難しすぎる?」
甲本  「急に?」
ピーター「フッフッフッフッ」
甲本  「来るなぁ、ちょっと待って下さいね」
ピーター「はいよ」
甲本  「ああっ。では、ライブで、もう、これもライブでノックアウトされました。『Midnight Rambler』」
ピーター「オリジナルのスタジオバージョンですね」
甲本  「はい。あっでもそれだったら、せっかくなんで、ライブって言っちゃったから」
ピーター「あ~いいですよ」
甲本  「『Get Yer Ya-』から」
ピーター「『Get Yer Ya-Ya's Out』から、『Midnight Rambler』ですね」
甲本  「はい」
ピーター「約…9分近くありますけど、まあ行っちゃいましょう」
甲本  「大丈夫ですか?」
ピーター「行っちゃおう、行っちゃおう」


Midnight Rambler (Get Yer Ya Ya's Out) / The Rolling Stones

ピーター「これもいいアルバム…ほんとに。これマディソン・スクエア・ガーデンだっけ?」
甲本  「はい」
ピーター「うん」
甲本  「僕、マディソン・スクエア・ガーデンで、ローリング・ストーンズ、観ることが出来た」
ピーター「おお~。僕はどこだったっけ?アストリア・フィンズベリー・パークって所で」
甲本  「あ~いいですねえ、わあ。初めて観たのがアメリカで、その時もう日本にはローリング・ストーンズは来ないと思ってたんです」
ピーター「あ~そっか」
甲本  「それで、えっと観に行ったんですよ。そん時に、えーとシェア・スタジアムで、観たんですけれど。その…時に、凄く大所帯の、コーラスとか、いっぱい入れた、サポートメンバーをたくさん付けたツアーだったんですね。で、わあローリング・ストーンズこんなんなっちゃったんだーと思って。でも、凄く楽しんで観ていたんだけど。この曲だけは…生の、バンドを感じたんですよ、凄く。なんかサポートメンバー関係なくて、ローリング・ストーンズがこう…一個のこう、大きな大蛇のようにうねってる感じが見えたんですね。凄い感動したの覚えてます」
ピーター「フ~ン。80年代の終わり頃かな」
甲本  「えっ、いや違う」
ピーター「初めて来日したのは90年ぐらいでしたっけ?」
甲本  「ですよね。来日の直前ですよ」
ピーター「ああ~ほんと。僕が最初にストーンズを観たのはね、ロンドンのね、あの~フィンズベリー・パーク・アストリアというおっきな映画館、なんですけど」
甲本  「何年ですか?」
ピーター「あれはね、64年かな?」
甲本  「うーわあ。ふっふっふ」
ピーター「で(笑)けっこう前の所、一階席のわりと前の方で観てたんですけど」
甲本  「凄い」
ピーター「あの頃ってね、PAね、ないんですよ。基本的に。で、ギターアンプの、音が、ステージからそのまま聞こえるような時代だったんだよね。凄くよく覚えてるのがね、アンプの…音からギターの音がね、チューニング合ってないんですね」
甲本  「はい」
ピーター「それがね、凄く気になってて(笑)聞いてて、嫌だな嫌だなと思いながら。でも凄くカッコいいし、憧れてるんだけど」
甲本  「でも、凄いローリング・ストーンズらしいエピソードです」
ピーター「アッハッハッハッ。そうかもしれない」
甲本  「はい」
ピーター「で、その~69年の、ハイドパークのライブを、観てはいるけれども。もう豆粒にもならないぐらい遠くってね。音もね、ろくに聞けてないんですね」
甲本  「あ~そうですか」
ピーター「まあPAもその頃あるんですけど、今のようなPAじゃないですからね。風が吹くとね、音がね、聞こえなくなっちゃう」
甲本  「ふむふむふむ」
ピーター「で、あの~それでたぶんほとんど聞こえてない…んじゃないかな」
甲本  「でもそこの場に、いたわけですね」
ピーター「そうね。映像…を撮られてるからね、その映像の記憶はあるんだけど。でもね、自分のちゃんとした記憶っていうのは、あんまりないね。正直な所ね」
甲本  「そうですか~。そうか、いいストーンズ観てるんだなぁ、いっぱい」
ピーター「あの~、あの時代のコンサートっていうのはパッケージショー」
甲本  「はい」
ピーター「ですからね、色んな他のグループ…も出るんですね。で、ストーンズの時はね、あれは、2回同じ所で観てるんですよね。64年と、もしかして65か6か、そのぐらいですけど。どちらかでね、アイネズ&チャーリー・フォックスが、前座の一つとして来てたんですね。それね、凄く感動したのを覚えてます」
甲本  「え~それレアですね(笑)」
ピーター「今回は、東京ドーム3公演。ですけど、全部行くんですか?」
甲本  「行く…つもりなんですけれど。さて、そのチケットが全部手に入るかどうかまだ分からないんですね」
ピーター「そうかそうか」
甲本  「はい」
ピーター「それがちょっと難しい所ですね」
甲本  「はい、頑張ります」
ピーター「これまでは近い所で観たことありますか?」
甲本  「あります、何度か。特にね、覚えているのが、『Voodoo Lounge』の、ツアーの時に、最前列、を経験して。うん、もう死んじゃおうかと思った(笑)うん」
ピーター「『Voodoo Lounge』っていうと、95年」
甲本  「そうです。いいツアーだった。あの~、少しそぎ落として、サポートメンバー減らして。凄くバンドっぽい、ローリング・ストーンズで、来てくれた」
ピーター「あの時のサポート、誰がいました?覚えてます?」
甲本  「サポートは…あの~コーラスの、リサ・フィッシャーですね」
ピーター「うん。あとあの~ダリル・ジョーンズ、とか」
甲本  「そうです、そうです」
ピーター「んーと、キーボードは今の」
甲本  「チャック」
ピーター「チャック・リヴェルですか」
甲本  「はいはい」
ピーター「そっか、じゃあ今と基本的に同じメンバー」
甲本  「そうです、そうです」
ピーター「そっかそっか。じゃあここで、もう一曲ライブで行きましょうか」
甲本  「はい」
ピーター「69年のハイドパークではなく、今年のハイドパーク。これもLP・CD・DVD、全部入ってるBOXセットがあるんですけど」
甲本  「すごーい」
ピーター「日本だけ、のボーナストラックとして、『Happy』が一曲追加されてるので、今日それで行きましょう」
甲本  「頑張れ、キース」


(スウィート・サマー・サン ストーンズ・ライヴ・イン・ロンドン・ハイド・パーク 2013)
Happy / The Rolling Stones

甲本  「チャーリーのドラムいいですね。ハットがこう、適当にこう…ふふっ」
ピーター「いや『Shine a Light』を観て僕ね、チャーリーが、凄い、って改めて思いましたよ」
甲本  「凄いですね」
ピーター「あの映画の中ではもしかして、4人の中で、一番凄いと思ったのはチャーリー」
甲本  「うんふむふむふむ」
ピーター「あのパワー。で、ずーっともう最初から最後まで、力全く抜かずに、あれだけのパワーで叩き続けるってのは、あの歳では、尋常じゃないなと思って」
甲本  「凄いですね」
ピーター「まあみんなカッコいいけどね。70歳になって、それでもまだやるからね。まあ本人たちもね、おそらく30にも、なったらもうやめてるつもりだったんでしょうね。だから、あの世代の人たち…のおかげで、音楽が職業として成り立つようになったですね」
甲本  「なるほど」
ピーター「60'sの段階では、ジャズのミュージシャンだったら、中年までやってる人は色々いたと思いますけど。ロックンロールっていうのはやっぱり若くなきゃ出来ないっていう、先入観をみんな誰でも持ってたもので。ビートルズと特にストーンズ、まあストーンズはずっと持続しましたけどね。ほんとに概念が変わったなぁってつくづく今、思いますけど」
甲本  「なるほど。助かった、僕も」
ピーター「70までやりますか?」
甲本  「ふふっ、頑張る」
ピーター「ハッハッハッハッ。もし今、ストーンズの誰かに、会えるとしたら。誰に会って、どんな話をしたいですか?」
甲本  「僕は…ミック・ジャガーかなぁ」
ピーター「うん。」
甲本  「そして、音楽…その、ミック・ジャガーとしてじゃなくて音楽を好きな、大好きな人として、会いたいです。で、普通に、ブルースの話をしたいです」
ピーター「じゃあほぼ一緒ですね。僕はキースとブルーズ談義をしたい。それだけ」
甲本  「いいですね」
ピーター「『It's Only Rock 'n Roll~The Rolling Stones Special』。今夜は、8年ぶりの来日公演を控えたThe Rolling Stonesについて、甲本ヒロトさんと、色々とお話をしてきました」
甲本  「ありがとうございました」
ピーター「こちらこそありがとうございます。『THE ROLLING STONES 14 ON FIRE JAPAN TOUR』は、2014年2月26日、3月4日、3月6日、東京ドームです。詳しくは、InterFMのThe Rolling Stones特設サイトをご覧下さい」
甲本  「行こう」
ピーター「はい。フフフッ。私も行きます。お相手はピーター・バラカンと」
甲本  「ザ・クロマニヨンズ、甲本ヒロト、でした」




ザ・クロマニヨンズ LIVE ALBUM
『ザ・クロマニヨンズ ツアー 2013 イエティ 対 クロマニヨン』
13.12.25 発売

・ ザ・クロマニヨンズ Official Webサイト
・ InterFM|The Rolling Stones 特設サイト



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