suicide bambi

パンクロックからお笑いまで、気になることを気まぐれに。

世界の終わり

「世界の終わり」を鳴らす夢を見た。


ピエロがいるあのグループじゃない。
今は亡き、背の高い男がギターを弾いていたあのバンドだ。
ミッシェルガンエレファントの「世界の終わり」だ。

どうでもいい、昨日見た夢の話を書く。

小さめのホールのような所でライブを観ていた。
「世界の終わり」を演っていた。
しかし、ギターはアベフトシではなかった。
夢ならせめて生きていてくれよと思うが
妙にシビアな夢だった。

見たことのない若い男がギターを弾いていた。
メンバーには気に入られているようだった。
ヘロヘロのギターを弾いていた。
ヘラヘラしながら弾いていた。
元々上手くないのか、初心者なのか
下手でもいいが、まるで魂を感じない。
気に入らない。

どう反応したらいいか戸惑っていたら
とうとう回りからブーイングが起こった。
若い男は依然としてヘラヘラして
ヘロヘロのギターを弾いていた。

「世界の終わり」はこんなんじゃない。
ミッシェルのギターはこんなんじゃない。
冗談じゃねえ。やってやろうじゃねえか!

客席からステージに上がっていった。
誰にも止められないのは夢のゆるい所。
自分が上がった途端、ステージは急にチープな雰囲気になって
学校の体育館のような景色に見えた。
ステージになんか立ったことがないので
貧困な想像しか出来なかったんだろう。

どこかでこれは夢だと自覚していたのかもしれない。
強気な自分は、座り込んでいた若い男から
変な色のギターを奪い取った。
エメラルドグリーンみたいな色だった。
何色でもいい、あの音を鳴らすんだ。
ギターのストラップがよじれていて
戻す作業がもどかしいのがリアルだった。

見よう見まねでギターを構えた。
メンバーが鳴らす「世界の終わり」の音は
ずっと響いていた。
頭の中に聴こえているのは、まぎれもない
アベフトシのギターの音だった。
あの音を鳴らすんだ。

しかし、何をどう弾けばいいのか分からない。
若い男に「最初のコードはなんだ!」と聞いた。
「Aです」「Aか…これか…!?」
見よう見まねでそれっぽいコードを鳴らした。
なんか違う気もするが、他はもう分からない。
ピックがない。「ピックをくれ!」
急に弦に対する抵抗力が強まる。
ギターを練習していた頃を思い出した…

簡単なコードなら、覚えれば左手は何とかなる。
けれど、力と思いきりがないせいか
ピッキングが全然上手くいかなかった。
音が聞こえるのが恥ずかしくて
一度も思いきり弾けたことがなかった。
当時は下手くそながら、とにかく思いきり弾きたくて
とにかくバンドがやりたくて、興味のない子も無理やり誘って
何とかギター、ベース、ドラムを集めて
スタジオを借りてやってみることにした。
歌なんか誰かが歌えばいい。みんな初心者で見よう見まねだ。
楽譜をコピーして配って各自で練習をした。
全然上手くはなれなかったが
一曲を何とかなぞれるように努力はした。
結局その後、友達がバイトの都合などで行けなくなり
スタジオはキャンセルすることになった。
まあしょうがない。その時は思った。
それ以来、バンドをやれる機会はなかった。
弾いていて楽しくない、上達する気配もない
ギターもやがて弾かなくなった。
埃を被ったギターケースは今も部屋の隅にある。

バンドが出来なかったのがたぶん心残りで
コンプレックスなんだと思う。
今でも女のバンドが好きじゃない。
バンドに女が混じっているのも好きじゃない。
ギターを抱えて街を歩いている若者を見ると
しゃらくせえ!クソが!と心の中で呟いて
下を向いて歩いている。コンプレックスの塊だ。
元々社交的じゃないし、やりたいことはあの頃もっと
ガムシャラにやっておくべきだったんだろう。
大人になったらもう無理だ。
だから未だにこんな夢を見る…

とにかく思いきり弾け。たぶんこれは夢だ。
ミッシェルのメンバーも観客もまるで目に入らない。
ただ「世界の終わり」だけが鳴っている。
それっぽいコードを全力で鳴らした。
変な音だ。ヘロヘロだ。でも他にやり方を知らない。
ぶっ壊れてもいい、怪我してもいい、
とにかく全力で弾いてやるんだ!
魂で弾くんだ!情熱をぶちまけるんだ!
宙を見据えながら、全力でギターをかき鳴らした。
これで合ってるのか、これでいいのか、
こんな音だったか、なんでここにいるんだ…

……目が覚めた。二度寝していた。
頭の中では「世界の終わり」が鳴っていた。
また、今日が始まる。




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