suicide bambi

パンクロックからお笑いまで、気になることを気まぐれに。

レコード少年

クロマニヨンズの『エルビス(仮)』を聴くと
頭の中に浮かぶ少年がいる。

JUNGLE 9



まだ幼く見える中学生くらいのその少年は、学校では冴えないタイプで、退屈な日々を過ごしている。

優等生になれるような賢さはないし、不良になれるほどの思いきりもない。不良に目をつけられないようにと、曖昧な笑顔だけ覚えた。何かに反抗する気力もなくて、冷めたふりをしてやり過ごす。

友達とバカ騒ぎしていてもどこか空しい。形だけの勉強をしていても謎ばかり増えていく。この先に何があるのか。大人はみんな下を向いている。いつか僕もこの世界に染まって、空っぽのまま生きていくのだろう。

そう思っていたある日、痺れるような音楽に出会った。ロックンロールというやつだった。ラジオから流れてきた。ドキドキが止まらなかった。大声で叫びたい、駆け出したい気持ちになった。突然、無敵な気分になれた。

またあの気持ちを味わいたくて、少しずつレコードを買ってはドキドキしながら聴いた。

そして、今日はずっと前からほしかったレコードが買える日。おこづかいを握りしめてレコード屋さんに向かう。お目当てのレコードを買うと、それを大事に大事に胸に抱えて、はやる気持ちを抑えきれず駆け出す。

走る、走る、走る ―――――――――
レコードを胸に抱えて走る。早く聴きたい。今すぐ聴きたい。想像するだけでワクワクする。曖昧な世界をすり抜けていく。

部屋の中。床に置かれた小さなレコードプレーヤーで、レコードがグルグルと回っている。少年はそれをキラキラとした目で見つめながら、ロックンロールに耳をすませている…。

◇◇◇◇◇

そんな少年の姿が、クロマニヨンズを聴いていると頭の中に浮かぶ。退屈だった自分の学生時代と、ヒロトの原体験の話がおそらく混ざっている。でも確かに頭の中にいる少年。こちらはCDで聴いているのに、あの少年はレコードを聴いている。ズルいじゃないか。

最近、ラジオでヒロトがレコードについて語っているのをよく耳にするせいか、「自分が聴いているのがレコードじゃなくてすいません…」とヒロトに謝っている夢を見た。レコードへの憧れはあれど、なかなか手が伸びず、ニューアルバム『JUNGLE 9』もやはりCDで聴いている。

そんな夢を見た数日後、また別のラジオでヒロトが「僕のやり方がああで、そうじゃない人もいていい」「みんな好きなやり方でやればいい」と語っていた。クロマニヨンズのファンだからといって、アナログで聴かなくちゃいけないことはない。雑誌のインタビューでも同様のことを語っていた気がする。

先日のラジオでは口調が強めだった。クロマニヨンズはアナログで聴かなくちゃいけないんですか?と実際に聞かれたりしたのだろうか。そんなことはないと否定するヒロトの言葉に安心して、CDからパソコンへ、パソコンからスマホに入れたクロマニヨンズの曲を聴いている。この過程の中で、こぼれ落ちてしまっているものは確かにあるんだろう。

でも自分にはレコードは似合わない。現実的な余裕もあまりないし、分かってるふうのカッコつけも嫌いだ。レコードに憧れながらもこうやって聴くのが、自分のやり方なんだろう。その憧れを背負ったのがあのレコード少年なのかもしれない。

少年はいつかきっと仲間に出会って
バンドを始めるんだろうな。

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